大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和28(あ)2164 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を仙台高等裁判所秋田支部に差し戻す。

理 由

仙台高等検察庁検事長川又甚一郎の上告趣意第二点について。

所論は原判決は憲法第三八条第一項の解釈を誤つた違法があると主張する。よつ

て按ずるに、「麻薬は、その用法によつては、人の心身にきわめて危険な害悪を生

ずるおそれがあるから、麻薬取締法(昭和二三年七月一〇日法律第一二三号)が、

その取扱に厳重な規制を加え、またこれを取扱う者の資格についても特定の制限を

設け、免許制度をとつていることは、公共の保健衛生の要請からいつて正当な処置

であり、そしてまた同法一四条が、麻薬取扱者に対し業務所ごとに帳簿を備え、麻

薬に関する所定の事項の記入を命じ、この違反に対し同法五九条に刑罰制裁を定め

ていることは、前示のような麻薬の性能にかんがみ、その取扱の適正を確保するた

め心要な取締手続にほかならない。従つて所論帳簿記入に関する規定そのものは憲

法三八条一項の保障とは関係がない」ものであることは当裁判所大法廷判決の明示

するところである(昭和二七年(あ)第四二二三号、同三一年七月一八日大法廷判

決、判例集一〇巻七号一一七三頁)。右大法廷判決の判示によれば、被告人の帳簿

記入義務違反の所為に対し麻薬取締法第一四条、第五九条を適用処断しても、憲法

第三八条第一項の保障とは関係のないものであるから、原判決はこの点において所

論のごとき違法があり、論旨は理由があつて原判決はこの点において破棄を免れな

い。

よつて、爾余の論旨に対する判断を省略し、刑訴法四〇五条、四一〇条を適用し

て原判決を破棄し、同法四一三条本文に従い、本件を原裁判所に差し戻すべきもの

とし、裁判官全員一致の意見により主文のとおり判決する。

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検察官 松村禎彦公判出席

昭和三四年六月五日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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